[tip]この記事の内容を簡単に言うと?[/tip]
この後長々と解説が続きますが、1文で言えば
「糖の吸収をゆっくりにさせれば脂肪がつきにくく、やせやすいよ」
という事です。
これを頭に入れておいてから読んでもらえると理解しやすいと思います。
(※解説を読むのがめんどくさい人は、この1文を頭に入れつつ、「6、低インスリンダイエット法のためのサプリメントの使い方」の部分まで飛ばしても一応実践はできます)
1、低インスリンダイエット法の特徴
まずは、このダイエット法の長所と短所を列記します。
優れている点
・特に運動する必要はない
・特に食事制限する必要はない
・リバウンドしにくい
・以前より少ない食事量で満腹感が得られるようになる
・糖尿病予防になる
気になる点
・体重減少、体脂肪率低下は緩やか(数ヶ月~1年単位で考えたほうがいい)
・現在の体重・体脂肪が標準レベルの場合、現状維持が限界かも知れない
・ゆえに「がりがり」レベルを目指す場合は効果はあまり期待できない
・食物繊維が体質的に合わない場合、便秘や下痢のリスクがある(可能性は低い)
2、誤解の多い低インスリンダイエット法
低インスリンダイエットが日本知られるようになったのは2000年前後、おそらく「特命リサート2000X」という番組で紹介されたあたりではないかと思います(そもそもこの番組が作り出したダイエット法という説もあります)。
一時期はブームになったものの、他のダイエット法同様すぐに廃れてしまいました。
その結果、現在は誤った方法がネット上に氾濫しているのが現状です。
・低インスリンダイエット法は「炭水化物を我慢する方法」ではない
一番多い誤解が、低インスリンダイエット法を「炭水化物を我慢する方法(低カロリーダイエット法といいます)」と誤解しているケースです。
つまり、「低インスリンダイエットって、要するに炭水化物を摂らなければいいんでしょ?」という誤解です。
それゆえ、食事を我慢して低カロリーの食事を取るという、ハードルの高いダイエット法と考え、実践するのをためらう人が多いのです。
しかし、実際は「食事の我慢をせず、カロリーも減らさずにやせる」のが低インスリンダイエット法の最大の特徴なのです。
・GI値というオカルトは無視する
これは誤解というと語弊があるのですが、低インスリンダイエット法は「GI値を意識した食事をする」方法でもありません。
日本で最初にこのダイエット法が紹介された際に、このGI値と絡めて説明されたため、このGI値を意識する方法が低インスリンダイエット法なのだと誤解されてしまいました。
しかし、このGI値を意識する方法はあくまでも「低インスリンダイエット法を実践するためのひとつの方法」にすぎず、「GI値を意識した食事=低インスリンダイエット法」ではないのです。
ここまでGI値を連呼してきましたが、ここでGI値について説明をしておきます。
GI値とは「グリセミック指数」の略で、「その食品がどれだけすばやく吸収され血糖値を上げるか」を数値化したものです。
この数値が高ければ急激に血糖値が上がりやすく、低ければ血糖値は緩やかに上昇すると言われています。
例えば野菜や果物はGI値が低いので血糖値は急上昇せず、米やパンはGI値が高いので血糖値は急上昇しやすいということになります。
しかし、このGI値はその正確性がかなり疑わしいのが現実で、収集したGI値のデータに一般性があるのかがかなり疑わしいのです。
というのも、吸収速度の食品個体差を無視したデータであること、定期的にコロコロと数字が変わること、データの出所によって数字に差があること、そして何よりも「体感と一致していない」という問題があるのです。
体感が一致していない例としては「米よりパスタの方が吸収が遅く、血糖値の上昇が緩やかだ」というのがその代表です。
パスタの方が米より腹持ちが悪く(=吸収が速い)、量を多く食べやすい(=血糖値が上がりやすい)という事実と一致しないのです。
低インスリンダイエットが廃れたのも、このGI値を盲信したために成果が出なかった人が多く出たことも原因の一つなのではないでしょうか。
3、低インスリンダイエット法の仕組み
まずは食べ物が体内に入ったときどのようなことが体に起きるのかを考えていきます。
3-1、食べ物が体内に入ったときどのようなことが体に起きるのか?
・炭水化物が体内に入ると?
炭水化物が体内に入った後の流れは
炭水化物が糖に変わる
↓
糖が吸収され、血糖値が上がる
↓
吸収された糖を処理するためにインスリンが分泌される
という流れになります。
ここまでは問題ありません。
問題はこの後です。
インスリンがどう作用するのか、2つのケースに分かれます。
・ケース1 食後に体を動かした場合
食後に運動などをして体を動かした場合、
体「運動しているからもっと燃料が必要だなあ」
インスリン「なら体内にある糖分を筋肉まで誘導して燃料にするね」
体「おお、ありがとう。助かるわ」
体内の糖分はインスリンの作用によって筋肉に運ばれエネルギーになります。
それゆえ、運動する人にとってはインスリンはありがたい存在といえます。
このケースではインスリンは良い方に作用しています。
・ケース2 食後に体を動かさなかった場合
問題はこのケース2です。
食後に運動などをして体を動かさなかった場合、
体「体内に糖分がいっぱいあるなあ」
インスリン「でも今は運動してないから必要ないよね?」
体「そうだね」
インスリン「ただ捨てるのはもったいないから糖分を貯金(脂肪)しておくね」
体「おお、ありがとう」
(これを繰り返した結果)
体「体に貯金(脂肪)がいっぱいたまったなあ・・・」
体内の糖分はインスリンの作用によって脂肪に変わります。
もちろんこれは栄養を無駄にせずに蓄えておく作用なので本来は良い作用なのですが、現代のように飢餓と無縁の環境では害となります。
今となってはありがた迷惑な仕組みなのです。
ではこのインスリンの「脂肪を蓄える」システムを回避するのはどうすればいいのでしょうか?
3-2、インスリンの「脂肪を蓄える」システムを回避する方法
・食後に運動をする
1つめは当たり前ですが「食後に運動をする」ことです。
ただし、1回の運動ではなく、毎食後です。
もうこの時点で無茶だとわかるでしょう。
農畜産業従事者でもない限り、一日中体を動かすというのは現代人には無理な話です。
逆に考えると、農畜産業従事者は間食を含め1日5食の人は珍しくないですが、それでもあまり太らないのはこのインスリン作用の生ける証人ともいえるでしょう。
・血糖値の急上昇を抑えてインスリンの分泌を抑える
2つめが「血糖値の急上昇を抑えてインスリンの分泌を抑える」ことです。
この発想が「低インスリンダイエット法」の考え方となります。
つまり、「インスリンが脂肪を作るなら、インスリンが大量に分泌しにくい環境にすればいい」という考えです。
ではどうすればインスリンが分泌しにくくできるのか?
それは「血糖値を急上昇させず、『インスリンは必要ないよ』と体をだます」ことです。
「糖分が一気にやってくるから、体もあせってインスリンを大量に分泌する。なら糖分をゆっくりと体に入れてやればインスリンもそれほど分泌されずに済み、脂肪もつきにくい」というのが低インスリンダイエットのからくりなのです。
3-3、では、糖分の吸収をゆるやかにするにはどうすればいいのか?
いよいよ核心です。
いくら糖分の吸収を緩やかにするのがいいといっても実践できなければただの絵に描いた餅です。
しかし、実践方法はごく単純なもので
それは「食前に食物繊維を大量に摂れ」というものです。
ところがまたここで問題が生じます。
「食物繊維を摂れ」とはいうものの、野菜や果物に含まれる食物繊維は想像以上に少ないのです。
それゆえ、大量に野菜や果物を摂らないといけなくなります。
サラダパック1袋とか、りんご1個といったレベルではなく、それ以上の量です。
もちろん、毎食大量に野菜や果物を摂ることを苦にしない人なら問題はないのですが、大量に野菜・果物を摂れる人はそもそも太ってません。
「毎食後運動すればやせる」というのと同じで、肥満に悩む人にとっては机上の空論でしかないのです。
また、果物自体に糖分が大量に含まれているという問題もあります。
ダイエットのつもりがカロリーをとりすぎる結果になっては何の意味もありません。
となると、食物繊維サプリメントを使うというのが現実的な選択となるでしょう。
4、なぜ低インスリンダイエットはリバウンドしにくいのか?
1の「低インスリンダイエット法の特徴」の項で「優れている点」としてあげたものに「リバウンドしにくい」というものがあります。
他の「特に運動する必要はない」と「特に食事制限する必要はない」の2つはここまでの解説を読んでいればわかると思うのですが、リバウンドしにくいというのはいったいどのような理由なのでしょうか?
この点を解説したいと思います。
・そもそもリバウンドの原因はなんなのか
どのような原因でリバウンドは起こるのでしょうか?
リバウンドは「カロリーを制限するダイエット」を行った場合に起こります。
カロリー制限をするダイエットを行った場合、
体に入るカロリーが急に減る
↓
体「食料が手に入りにくくなった様だな。できるだけエネルギーを使わずに蓄えられる体に変えよう」
↓
少ないエネルギーで生存できる体になる=脂肪がたまりやすい体になる
という現象が発生します。
この状況で食事を戻すと、以前摂ったのと同じカロリーを摂取してるはずのに、以前よりも太ってしまうという悲惨な状態となります。
摂取カロリーを抑える「低カロリーダイエット法」はたしかに体重減少が早いのですが、むしろ以前より太りやすくなるという問題が生じ、結果、リバウンドにつながるのです。
もちろんずっと低カロリーを維持すればいいのですが、そうすると今度はストレスや筋肉と骨密度の減少など、他の部分に問題が生じます。
このようなカロリーを抑え続ける手法は一気に体重を落とさないといけない時に使う「緊急時の手法」として使用するべきなのです。
・低インスリンダイエット法は摂取カロリーは変えない
一方、低インスリンダイエット法の場合は、摂取カロリーは変わりません。
食事内容を特に変えないのですから当たり前の話です。
トータルの摂取カロリーは変わらず、吸収速度が遅いだけなのです。
それゆえ、体も省エネモードに入らず、むしろ体が「常に糖分が供給されてるから貯金(脂肪)を蓄えなくてもいいな」(=脂肪がつきにくくなる)と考えてくれるかもしれないのです。
「食事を我慢しない」「無理に運動もしない」「リバウンドもしない」という、楽な方法がこの低インスリンダイエット法なのです。
5、補助として使えるサプリメント:ビタミンB群
基本的に低インスリンダイエット法に使うサプリメントは「糖の吸収を緩やかにする」効果のあるものを使います。
しかし、糖の吸収を抑えるサプリメントではないのですが、「ビタミンB群」もこのダイエット法の補助サプリとして優秀なビタミンです。
というのも、ビタミンBには「細胞が糖質を消費するのを促す」という効果があるからです。
ビタミンBは糖質の吸収には作用しませんが、吸収された糖質をどんどん細胞に使わせて、血糖値のピーク時の値を下げる効果があるといわれています。
実際、2型の糖尿病患者の人は飲むことを勧められるビタミンです。
・ビタミンB群(ビタミンBコンプレックス)
ビタミンBといってもいろいろあるのですが、「細胞が糖質を消費するのを促す」という点ではどれも同じです。
また、それぞれ細胞での役割が異なるのですべてとらないとバランスが悪くなります。
また、ビタミンBはすぐおしっこになってしまうため、長く体内にビタミンBがとどまる「タイムリリース型」がいいのですが、あいにく日本ではタイムリリース型のビタミンBを作っているメーカーはありません。
ゆえに、アメリカのメーカー製造のものを手に入れる必要があります。
(※具体的な製品の紹介は「ビタミンBサプリの選び方」を参照)
6、低インスリンダイエット法のためのサプリメントの使い方
さて、いよいよ実践です。
ここでは低インスリンダイエット法に使うサプリメントの使い方と選び方を解説していきます。
6-1、体重・体脂肪率の変化は緩やかなので成果をあせらない
冒頭で書いたように、このダイエット法は体重・脂肪率の減少速度は緩やかです。
それゆえ、数日試して体重に変化がないからといって「効果がない!」と考えてやめてしまう、というようなことはないようにしてください。
そもそも人間の体重が急激に減るというのは相当不自然なことなのです。
そして、急激に体重が減少した場合、脂肪よりも筋肉が大幅に減少し、体脂肪がむしろ上昇することさえあります。
筋肉の割合が減り、体脂肪率が上がると「体重の割に太く見える」ようになるのはすでに知られているとおりです。
それではいくら体重が落ちても何の意味もありません。
(逆に、筋肉の割合が高いと体重の割に細く見えます。サッカー選手がいい例です)
半年(できれば1年)ほどやり続けてから自分に効果があるのか否かの判断をしましょう。
6-2、食物繊維は「水溶性」と「不溶性」の2種類がある。効果があるのは「水溶性」
一言で「食物繊維」とまとめがちですが、実は大きく分けて「水溶性」と「不溶性」の2種類があります。
・水溶性食物繊維
これは名前のとおり、水に溶ける食物繊維です。
このダイエット法で使うのはこのタイプの食物繊維です。
種類がかなりあり、「グルコマンナン」やジャム作りで使う「ペクチン」が有名です。
また、最近は「難消化性デキストリン」という、でんぷん由来のものがちょっとしたブームになっています。
・不溶性食物繊維
これも名前のとおり、水に溶けない食物繊維です。
これは野菜の多く含まれているもので、便秘解消には効果があるのですが、血糖値の急上昇を抑える効果はありません。
このことを誤解している人は多く、実際allaboutという有名サイトでも「血糖値の急上昇を抑える効果がある」という情報を流していたりしますが、現実には直接の効果はありません。
ただし、満腹感を長続きさせ、結果として食欲を抑える効果があるので、ダイエットサプリとしてはこれはこれで効果が期待できます。
このダイエット法では使わないというだけのことです。
7、低インスリンダイエット法のためのサプリメント
[tip]ここで紹介するサプリメントはアメリカのサプリメント通販「iherb」で購入することを想定しています。
iherbを利用したことがない方は別記事のiherbでの買い方・使い方を参考にしてください。[/tip]
7-1、価格は高めだが効果が強いNatural Factorsの「PGX」
(商品のリンク→Natural Factors, WellBetX PGX, Plus Mulberry, 180 Veggie Caps)
「PGX」という、ナチュラルファクターズが特許を取った製法で合成された食物繊維サプリメントです
この製品の特徴は、
・効果が強い
・効果が強い分、おなかの張りが気になる場合もある
・価格がやや高め
の3つです。
成分は、「PGX」という、コンニャクマンナンとアルギン酸ナトリウムとキサンタンガムを使用して作られた繊維複合体がメインで、それに加え、血糖値の急上昇を抑える効果がある「マルベリー」が入っています。
この製品は食物繊維の純度が高く、効果が強烈なのですが、反面、おなかの張りに違和感を覚える人もいます。
そのため、このような注意書きがあります。
注意: 体がPGXの付加(※注:おそらく「負荷」の間違い)に合わせるので、通常3-7日間、腸の動きに一時的な変化が起こることがあります。(その場合)半分の服用量から開始して、体がPGXに慣れるように少しずつ全服用量まで増やしてください。
服用量を半分に減らし、おなかの張り具合を見ながら徐々に量を増やしていくのが対処法のようです。
使用方法は、毎食前に2~4カプセルを240~480mlの水(飲むカプセルの個数で変わる)と一緒に飲みます。
ここで、必ず守ってもらいたいのが「食前に飲む」「240ml(もしくは480ml)の水」の2つです。
これを守らず食後に飲んだりすると、食事の糖分があっさり吸収されて血糖値の急上昇がおき、何の意味もありません。
あとは「2カプセルなのか、4カプセルなのか」という問題ですが、アメリカンサイズの食事量でない限りは2カプセルで十分です。
価格は1ドル110円計算で、
・1日3回使用で1ヶ月分入り24.47ドル(約2692円)
7-2、どれくらいで効果が出るのか?
PGXを使うと、一般に2~3ヶ月、遅くとも半年で何らかの変化を感じるものです。
それは体重や体脂肪率といった数字だけでなく、「食後に追加でなにか食べたい、ということがなくなった」とか「カッとしなくなった(血糖値が急上昇する人はカッとしやすい)」といった体感でも現れたりします。
8、「PGXは高い!もっと安いのを!」
PGXは確かに効果が期待できる製品なのですが、この価格が高いと感じる人がいるのも事実です。
そのような人のために他の食物繊維サプリのリストも作っておきました。
効果はPGXよりは落ちるでしょうが、かなり安く済みます。
1、りんごペクチン
(商品のリンク→Now Foods, Apple Pectin, 700 mg, 120 Capsules)
りんごペクチンという、りんごから抽出した水溶性食物繊維です。
使用方法はPGXと同じで、「毎食前」に「大量の水(240ml)」とともに2カプセル服用します。
注意として、「20日分しか入っていない」ということです。
3個買いのまとめ割引がありますので、3つずつ購入することをおすすめします。
価格は1ドル110円計算で、
・1日3回使用で20日分入り10.78ドル(約1186円)
・1ヶ月当たり16.17ドル(約1779円)
なお、似たような製品に「アップルファイバー」というものがありますが、これはただのりんごの搾りかすであり、りんごペクチンの含有量は10%ほどなので手を出すべきではありません。
2、コスパでは一番のオオバコの殻
(商品のリンク→Now Foods, Psyllium Husk Caps, 700 mg, 180 Capsules)
数年前に「オオバコダイエット」という名前のダイエット法で注目されていた、水溶性食物繊維のオオバコが入ったカプセルです。
この製品はオオバコだけではなく、りんごペクチンも少しだけ入っています。
このオオバコは「コレステロール値を下げる」効果もあり、その目的で摂る人が多いサプリメントでもあります。
使用方法はPGXと同じで、「毎食前」に「大量の水(240ml)」とともに2カプセル服用します。
価格は1ドル110円計算で、
・1日3回使用で1ヶ月分入り10.19ドル(約1121円)
3、グルコマンナン
(商品のリンク→Now Foods, Glucomannan, 575 mg, 180 Capsules)
グルコマンナン、要するにこんにゃくの原料からとった成分です。
上で紹介したPGXの主成分もこれです。
使用方法はPGXと同じで、「毎食前」に「大量の水(240ml)」とともに3カプセル服用します。
注意として、この製品も「20日分しか入っていない」ということです。
3個買いのまとめ割引がありますので、3つずつ購入することをおすすめします。
価格は1ドル110円計算で、
・180カプセル(一日9カプセル使用で20日分)入りで10.78ドル(約1186円)
・1ヶ月当たり16.17ドル(約1779円)
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